
近年の国内通信市場は「高止まりしている」とされる携帯電話サービスの値下げをめぐり、政府と大手通信会社との綱引きが続いてきた。2020年はこうした構図が崩れ、新たな競争時代への扉が開かれそうだ。
この扉の鍵を握るのは、19年に携帯業界に参入する予定だった大手IT企業の楽天。当初の事業スタートとしていた19年10月の直前に実質延期を発表し、正式な料金プランも先送りした。その楽天が、20年春にも商用サービスを始める見通しだ。
実質延期した最大の理由は、スマートフォン(スマホ)と電波をやり取りする「基地局」の設置作業が遅れたことだ。サービスの要となる基地局が不足すれば、電話が途切れたりつながりにくくなったりする。作業の遅れを懸念した総務省が3度にわたり楽天を行政指導したが、間に合わなかった。
その代わりに、最長で20年3月末までの期間限定で始めたのが「無料サポータープログラム」。国内・国際電話や国内外でのデータ通信、、ショートメッセージなどを無料で使えるが、申し込んで利用できるのは東京23区と大阪市、名古屋市、神戸市に住む18歳以上の5000人に限られる。あくまで試験サービスの位置付けだ。
日本における携帯電話サービスの通信品質の高さは世界有数とされる。楽天はプログラム終了までに基地局の設置作業を済ませられるとするが、携帯大手に遜色ない通信品質を確保するのは容易ではない。
それでも国内で13年ぶりとなる新規参入はNTTドコモやKDDI(au)、ソフトバンクによる寡占を崩し、値下げ競争をもたらす、との期待は根強い。こうした消費者の期待に応えるためにも楽天はインフラ整備を急ぐ必要がある。
格安スマホが巻き返す
20年には楽天とは別に大手の対抗馬が台頭する。それは格安スマホ。一時の勢いは失ったが、サービスの品ぞろえを拡充して巻き返しを図ろうとしている。
格安スマホ会社は携帯大手から回線を借りて通信サービスを提供。自前の設備投資がかからないぶん、通信大手より低料金でサービスを提供しやすいのが特徴だ。14年前後から市場を急速に広げたが、顧客流出に危機感を持ったソフトバンクやKDDIが17年頃から、割安な通信料を売り物にしたサブブランドを展開。格安スマホの武器だった「安さ」の魅力が薄れてしまい、全体的に契約数の伸びが鈍化。淘汰も始まっていた。
政府は、大手対抗の本命だった楽天が手間取る中、格安スマホのテコ入れが携帯料金の値下げにつながるとみて、新たな支援策を検討している。その一つが、大手から格安スマホ会社への通話回線貸し出しルールの見直しだ。格安勢が音声定額サービスを提供しやすくする。
格安スマホの音声通話料金は30秒20円でほぼ横並びの状況。独自の工夫で音声定額を提供する会社はあるものの、通話ごとに最大10分などの制限がある。大手のような24時間かけ放題のサービスは提供できていない。
その要因の一つが携帯大手からの回線の「借り方」の違いだ。格安スマホ会社は大手からデータ通信と音声通話の回線を別々に借りている。データ通信回線の利用料には法制度に基づく算定ルールがあり、年々値下がりしてきた。
一方、通話回線の利用料は相対契約の形で決められ、その料金は高止まりしたまま。総務省はここに目をつけ、定額制メニューを用意するよう大手に働きかけている。実現すれば格安スマホ会社は完全定額の通話サービスなどサービス内容でも大手に対抗できる。
大手に有利な携帯業界の商習慣をどこまで変えられるか。格安スマホ会社や楽天が将来シェアを伸ばせるかどうかの重要なポイントになる。そこで政府は19年10月施行の改正電気通信事業法で、従来の商習慣に大きくメスを入れた。
従来の携帯料金は、月々の端末の割賦代金から一定額を割り引き、通信料と合算して消費者から徴収する仕組みが主流。政府は、セット割引と呼ばれるこの仕組みが消費者には複雑で料金高止まりの一因になっているとして、こうした契約を条件にした端末の値引き額を2万円までに規制した。
従来は値引き額の上限がなく、米アップルの「iPhone」のような高価格端末を大幅に値引いて販売できた。それによって最新型のiPhoneなど人気端末を取り扱う大手が自らに有利な競争環境を作っていた。これに一定の歯止めをかけるのが改正法の狙いの一つだ。
加えて改正法では、顧客流動性を妨げているとされる、いわゆる「2年縛り」にも新ルールを盛り込んだ。中途解約者に対して大手は9500円の違約金を課していたが、その上限を1000円に引き下げたのだ。消費者が携帯会社を乗り換える際のコストが抑えられ、大手の顧客が楽天や格安スマホ勢に流れやすい環境は整いつつある。
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