楽天株式会社(本社:東京都世田谷区、代表取締役会長兼社長:三木谷浩史)は、公正取引委員会より「楽天市場」における「共通の送料無料ライン施策」に関し、調査を開始した旨の連絡を正式に受領したことを公表した。
公取委から任意での協力要請
楽天は公正取引委員会より同社サービス「楽天市場」における「共通の送料無料ライン施策」に関し、調査を開始した旨の連絡を正式に受領したことを明らかにした。
同社は公正取引委員会から当該調査に対する任意での協力を要請されており、関係法条として独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号)を提示されているとしている。
楽天「法令上の問題はない」
楽天は今回の任意での調査協力要請に際して次のように述べている。
「当社としましては、本施策に関し、法令上の問題はないものと考えていますが、公正取引委員会からの調査につきましては、全面的に協力してまいります。同時に公正取引委員会に対し、本施策に対する当社の考え及びご賛同いただいている出店店舗様、お客様のお声を誠心誠意お伝えし、ご理解を得られるよう努めてまいりたいと考えています。
本施策は、楽天市場全体で表示を統一することで、お客様にとっての価格表示のわかりやすさを向上させ、より簡単にお買い物が楽しめる環境を創出することにつながるものです。当社は、本施策がさらなるお客様数の増加、購買頻度の向上につながり、ひいては出店店舗様の中長期的な事業成長に資するものと考えております。当社は、本年3月18日から本施策の開始を予定していますが、今後も、出店店舗様、お客様のお声に誠心誠意耳を傾け、よりよい『楽天市場』にするために、必要な対応を行ってまいりたいと考えています」
なお楽天は当該調査の経過等について判明次第、明らかにするとしている。
送料無料ラインに対する議論が深まるか
そもそもなぜ楽天に対して公取委が任意での調査要請を行っているのかと言えば、2019年夏に当初2020年初めにも楽天市場における一律の送料無料ラインを設ける旨の公式アナウンスを行ったことに起因する。
この送料無料ラインはこれまで楽天市場の送料無料ラインの価格帯設定については基本的に各ショップに任されてきた。それを楽天として一律に3980円として送料無料ラインを設定するという内容であった。これは競合するAmazonなど他のECプラットフォーマーが一定の送料無料ラインを設定する中で、激しさを増すEC市場での競争に対応するために楽天が打ち出したひとつの施策ともいえる。
これに対して一部の楽天市場への出店事業者からは独占禁止法第19条(同法第2条第9項第5号)に規定される「優越的地位の乱用」にあたるのではないかとの指摘がなされていた。「優越的地位の乱用」とは商取引において、力関係として実質的に上の立場にある事業者が、立場的に弱い取引先に対してその立場を背景に不利な条件で契約を結ばせることを意味する。
はたして楽天の送料無料ラインについて独禁法に違反するかは公取委の調査を待たねばならないが、楽天として今回、公式に調査に協力するとして、その意思を表明しており、適切かつ公明盛大な調査が行われることに期待したい。また同時に楽天の送料無料ラインの設定については、EC市場そのもののあり方を視野におさめつつ、楽天への出店事業者や一般の消費者などを含めて、より広範かつ掘り下げた議論が必要な局面とも言えそうだ。
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February 10, 2020 at 01:01PM
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楽天へ公正取引委員会から任意での調査協力要請 楽天側は「法令上の問題はない」 - ECのミカタ
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