NECは7月13日、東京・港区の本社ビルで、テクノロジーを使った新型コロナウイルス対策の実証実験を始めたと発表した。顔認証と検温ができるカメラをエントランスに配置し、本人確認と健康管理を自動化する。社内の売店では、入店や決済の際に顔認証を活用し、店員と接さず手ぶらで買い物ができるようにする。実験で使った技術は、2020年度中にソリューションとして外販する。
NECでは現在、約10万人のグループ社員にテレワークを認めているが、社会情勢を踏まえ、従来のオフィスの課題を解消するために実験に取り組むという。
エントランスで検温する手間を解消
エントランスではサーマルカメラで体表面温度を自動測定しながら、顔認証カメラで本人確認を行う。顔認証カメラは、マスクを着けた状態でも複数の人を同時に検出、照合できるため、ゲートを設けて1人ずつ検温したり、警備員を配置してセキュリティチェックを行ったりする手間を省けるという。
社員の個人情報に配慮し、認証結果を示すモニターには氏名や社員番号を表示しない。その代わり、社員一人一人に幾何学模様のアイコンを付与し、認証が完了した際に画面に映す。
エントランスにはデジタルサイネージも設置し、顔認証で来客を検知して会議室などを自動で表示する。
社内の売店では手ぶらで買い物、マスク着けていない人に自動で注意
社内の売店にはカメラを設置し、撮影した映像を映像認識技術で分析。来店した社員と手に取った商品を判別し、店を出た際に自動で決済する。社員がマスクを着けていても個人を特定できる。決済方法は給料からの天引きとクレジットカードの2種類を用意する。
カメラでオフィスの映像を撮影し、通路を歩いている人がマスクを着けているか否かを自動で判定するシステムも導入。着けていない場合はアラートを出し、着用を促す。食堂やエレベーターホールの映像を解析し、混雑状況を社員のPCに配信することも可能。
撮影した映像をもとに、どの社員がどこで作業しているかをリアルタイムで検知するシステムも採用し、座席をフリーアドレス化した際に社員を探す手間を省く。
この他、ロッカー、自動販売機、自動ドア、複合機などにも顔認証を導入し、社員が設備や備品に触れる機会を減らす。
今後はこれらの技術の外販を目指す他、スマートフォンを活用したオンライン名刺管理システムの開発も進めるとしている。
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