産経新聞とフジテレビの系列局が加盟するFNN(フジニュースネットワーク)の合同世論調査で、調査業務を孫請けした会社の社員が、調査対象に電話をかけずに自分で架空の回答を入力していたことが発覚したのだ。
産経新聞とフジは問題の会社に業務を委託していた昨年5月から今年5月の期間に合計14回の世論調査を実施。合計約2500件のサンプル(回答)に不正があったとして、14回分すべての世論調査の記事や関連放送を削除し、取り消すと発表した。その中には、昨年7月の参院選の投票行動に影響を与えたと考えられる調査も含まれている。
そもそも世論調査はその方法が大きく変わってきた。もともとは新聞社が事前に自治体の選挙人名簿から無作為に調査対象者を選び、調査員が直接出向いて面談する対面調査で行なわれていた。
それが1990年代から次第にオペレーターによる電話調査(RDD)に移行し、2016年頃から携帯電話への調査も加えるようになったとされる。固定電話だけの調査では高齢者に偏り、若い層のサンプルが足りないからだ。最近では毎日新聞はオペレーターではなく自動音声による電話調査を実施している。
共同通信記者時代に対面の世論調査のために有権者を回った経験がある政治ジャーナリスト・野上忠興氏が語る。
「今でこそ新聞社は毎月世論調査を行なっているが、昔は回数がもっと少なかったし、政治家も内閣支持率をそれほど気にしていなかった。
調査の回数が目立って増えたのは“劇場型政治”と呼ばれた小泉内閣の頃からです。自民党の派閥政治が崩れて記者が政治の流れの先行きが読めなくなり、世論調査を根拠に“国民はこの政策に批判的”とか、“賛成が多い”などと報じて、調査を政治報道の重要なツールに利用した。その結果、政治家も、内閣支持率を重視するようになった」
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July 04, 2020 at 05:42AM
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