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アパレルのエコバッグが大ヒットも…「ショッパー」の削減は? - livedoor

プラスチック製レジ袋の有料化が始まって2ヵ月を迎えようとしている。

当初こそ消費者からは困惑の声も出たが、日を追うごとに徐々に定着。現在、大手コンビニではレジ袋辞退率が70%を超えているという(セブン75%、ローソン76%、ファミリーマート77%) 。 

レジ袋辞退率が有料化以前の25%程度から大きく伸びた理由は、「地球環境を意識した」というより、「節約志向」のほうが大きな動機となったのではないかと思う。

そこで今回は、にわかに活気づくエコバッグ商戦についての取組事例を紹介しつつ、今後のエコバッグのあるべき姿について考えてみたい。

大ヒットしたアパレルエコバッグも

本格的なコロナ禍が始まる3月、店頭に並んでいたのはアダストリアグループの旗艦ブランドである「GLOBAL WORK(グローバルワーク)」。

同ブランドの雑貨ライン、G.W.G.G(GLOBAL WORK GENERAL GOODS)では生産工程で廃棄していた生地を再利用して作ったエコバッグ(税別500円)を「Re BORN To BAG」として販売。エコバッグに力を入れるアパレル企業の代表例となった。

洋服の残反をリサイクルした、グローバルワークのエコバッグ

他にもユニクロは、無地のエコバッグを税別190円で販売。また、アパレル以外ではLOFT(ロフト)が有名アートディレクターデザインのオリジナルエコバッグ (税別300円〜500円)を数量限定で販売するなど、競合他社と差をつけるため、価格やデザインで個性を出す様子が見られた。

その中には、レジ袋有料化前にはありえなかったであろう、エコバッグの大ヒット商品も生まれている。

稀に見る大ヒット商品となったのは、無印良品の「ジュートマイバッグ」だ。

本格的な麻(ジュート)を使ったシンプルな外観に、重さ20kgまで耐えられる強度、そしてA3サイズで税込290円というコスパの良さから、瞬く間に売り切れ。現在も一部、品切れ状態が続いているという。

表裏一体にある「ショッパー削減」問題

以上、紹介した企業の他にも7月1日からのプラスチック製レジ袋有料化という流れを、ひとつのきっかけにしてエコバッグの販売を強化したところは多い。

しかし、このエコバッグに関しては、エコ、つまり地球環境に優しいというコンセプトからすれば、自店のショッパー(ショッピングバッグ)の削減への取り組みとセットで考えることが前提となるはずだ。

Photo by iStock

前述したグローバルワークとユニクロではショッパーをビニール製から紙袋へ移行、その内、ユニクロでは9月1日から紙袋製のショッパーについて有料化に踏み切るようだ。

また、無印良品も紙製ショッパーは従来通り無料配布で提供するものの、有償ポリプロピレンバッグは使った後、店舗へ返却すると購入金額は全額返金されるというリサイクルな仕組みを取り入れている。

アパレルにとってショッパーは「顔」とも言える。したがって、ショッパーの再利用は広告宣伝的な意味合いも含まれる。

ながらくアパレル業界には、商品購入の懸賞的な役割として「ショッパーは無料が当たり前」という慣習が深く根付いている。今回の法令をきっかけにショッパーの材質について、各社それぞれ検討したはずだ。

しかし、エコバッグという商流と自社ショッパー削減について打ち出せた企業はあまり多くなかったように思う。まずはショッパー自体の価値観を改めていくことが、これからのアパレル企業の標準型となっていくべきだろう。

気がかりな「エコバッグ感染」の波

さて、人気エコバッグといえば、「トレジョ」の呼称でお馴染みの、米国食料品スーパーマーケットのトレーダージョーズのエコバッグがあげられる。

最もポピュラーなキャンバス地で税別3.99ドル、麻(ジュート)素材で2.99ドル、保冷&保温タイプでも5.99〜6.99ドルと格安。また、州限定デザインモチーフのコンパクトなタイプは99セントといった価格帯で販売していて、米国、ハワイ土産などで観光客からの人気も高い。

Photo by GettyImages

「トレジョ」以外にも、米国大手ディスカウントストアの「ターゲット」や大手自然食品スーパーマーケットの「ホールフーズマーケット」などのエコバッグも安価に種類も豊富に取り揃えられている。

このように、もとより環境問題への関心が高い米国では、多くの人がスーパーなどでの買い物にエコバッグを使うことがポピュラーだった。

しかしコロナ禍の影響から、米国の一部の州で再利用可能な買い物バッグの使用を、見直す動きも出てきている。というのも、米国ではレジ係とは別にBaggerと呼ばれる袋詰めを専門としたスタッフの居る店が多く、お客の持ち込んだエコバッグを介してウィルスが広がることを懸念したためだ。

こうして米国の各州では、行政命令によりエコバッグの使用禁止が相次いでいる。仮にエコバッグを持ち込んだ場合の袋詰めは、買い物客本人がするように喚起するなど、その取り扱いに関して新たにウィルスの拡散という観点が加わった。

この新しい観点が、日本でも広がるのかは現時点では分からない。しかしエコバッグ を扱うアパレル企業にとって、注視すべきリスクとなるだろう。

これからエコバッグに求められるのは何か

プラスチックゴミ削減を目標にした、包装レジ袋の有料化とエコバッグの普及については世界的な流れでもある。

2018年にカナダで開催されたG7サミットで取り上げられた「海洋プラスチック憲章」に署名しなかったのは米国と日本だけで、英国、フランス、ドイツ、イタリア、カナダの5ヵ国とEUは揃って署名、自国でのプラスチック規制強化を進めている。

そもそもエコバッグとはその名が示す通り、地球環境問題を優先させた商品でレジ袋の代替え品。嗜好品というより生活必需品に近い存在だ。そのため、今後さらにエコバッグに望まれるのは、皆に手にしてもらいやすい価格設定と自然に帰ることのできる素材が望まれる。

Photo by iStock

欧米先進国と比べて日本人の地球環境に関する意識は低いと言われてりうる。日ごろ目にするお弁当の容器や総菜のパック、スプーンをはじめ、多くのプラスチック製品に囲まれた生活していることを考えれば当然のことかも知れない。

その反面、製品バリエーションの多様化についての評価は高い。LOFTや東急ハンズの文具売り場における筆記具の色、形、ペン先の太さのオプションの多さ、あるいは家電量販店でみるイヤホーンやスマホケースなど同一製品についてのバリエーションの豊富さを考えれば、エコバッグもこれからもっと機能やデザイン選択の幅が広がってくるだろう。

地球規模の環境について語られても今ひとつピンと来ないのは、自分との直接的な関係性が感じられないためによるもので、今回は節約志向がひとつのきっかけとして、地球環境にも貢献できたという偶然の結果から、アパレルでも地球環境を考えた消費志向が加速していくことを願いたい。

そして、自分のお気に入りのデザインのエコバッグを手にして、「地球人としてこの地球に生かされていることにあらためて感謝する」。そんな気分に浸ってみても良いのかも知れない。

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