新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大を受け、原油価格が下落している。サウジアラビアをはじめとした石油輸出国機構(OPEC)加盟国は、追加の協調減産を模索。難色を示していたロシアなど非加盟国も追加減産に同意の意向を示すなど、産油国側は歩調を合わせて価格の下支えに躍起となっている。(飯田耕司)
ロシアのラブロフ外相は6日(日本時間7日)、OPEC側が提案していた減産拡大に支持を表明した。ロイター通信が報じだ。OPEC加盟国と、ロシアなどの非加盟国で構成する「OPECプラス」の合同専門委員会(JTC)は4日から2日間の日程で開催していた会合で、協調減産規模を暫定的に日量60万バレル拡大することを提案していた。
しかし、この提案にロシア側が難色。このため、日程を1日延長して協議を継続していた。ロシアは、政府予算の支援に向け石油会社の増産をもくろんでいたが、これ以上の価格低下は得策ではないとして、減産拡大を支持したもようだ。
原油価格は、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大で世界経済が停滞し、需要が減少するとの見方が広がり急落。3日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場では、指標の米国産標準油種(WTI)の3月渡しが一時1バレル=49・80ドルと50ドル台を割り込むなど、約1年1カ月ぶりの低水準となっていた。
新型肺炎の影響が経済活動に与える影響が長期化すれば、原油価格には下押し圧力が続く。そもそも、中国経済の減速見通しで、原油の需要は弱含んでおり、原油価格の大幅な上昇は見込めないとの見方が強い。
SMBC日興証券の宮前耕也氏は、今後の見通しについて、「感染者の縮小や生産活動の正常化などが出てくるまでは1バレル=50ドル前後の水準で推移する」とみている。
もっとも、生産活動が正常化しても、米新型原油シェールオイルの増産継続で供給過剰の状態は続く見通しで、「上がっても1バレル=55ドル程度」(宮前氏)としている。
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