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下水調査で新型ウイルスを「簡単」に検知=英研究所 - BBCニュース

ヴィクトリア・ギル科学担当編集委員、BBCニュース

下水調査で新型コロナウイルスを探せば、既存の検査より最大で10日も早く感染の急増を「簡単」に検知できるかもしれない。

イギリスの生態水文学研究所(UKCEH)が率いる研究で、科学者たちは下水サンプルに含まれる新型コロナウイルス量を「数える」ための標準検査づくりに取り組んでいる。

「(兆候の)発見が早ければ早いほど、より素早く介入できる」と、主任研究員のアンドリュー・シンガー博士は述べた。

「そうすればこの危機下にあって、暮らしがもっと楽になる」

下水を通じて感染流行を特定

英ニューカッスルやバンガー、エディンバラなど複数大学の科学者ネットワークは、すでに地元の水道会社とチームを組み、下水処理施設から未処理の下水サンプルを収集している。

これが、下水を通じて感染のアウトブレイク(大流行)を特定するための第一段階だ。

COVID-19(新型ウイルスによる感染症)のパンデミック(世界的流行)の初期には、感染者がウイルス物質を「排泄」することが研究で明らかになった。これが「下水疫学」への関心を引き起こした。

「下水道網の複数カ所で下水を採取することで、アウトブレイクの発生地域を徐々に絞り込める。そうすれば公衆衛生当局は、感染拡大リスクが最も高い地域に迅速に介入できる」と、シンガー博士は述べた。

「我々の研究者ネットワークにはすでに、対応可能な研究室が6つ参加しているので、全国的な監視システムは明日にでも実現できる」

下水に新型コロナウイルスが含まれるかどうかを把握できる検査方法は、すでに確立済みだという。現在は、下水道網の全体で定期的かつ確実に、感染レベルを測定する方法を開発中だ。

「遺伝子情報を解析すれば、ウイルスの有無は簡単に分かる」と、ニューカッスル大学のデイヴィッド・グレアム教授は説明した。「しかし、生死に関わる疫学のために、もっと正確なものにしたかった」。

グレアム氏と研究チームの仲間たちは現在、新型ウイルスの遺伝物質を数値化する方法を開発している。

「この方法では、標本に含まれるウイルス量を数えることができる」とグレアム氏は述べた。「各サンプルは、特定地域の下水を扱う処理施設から採取されているので、地域ごとのおおよその人数も分かる」。

現在のウイルス検査体制では1人の感染の有無を確認するのに、7日から10日かかると、グレアム氏は指摘。それに対して自分たちが開発中の検査方法では、「下水サンプルを採取し、翌日中には1人あたりの正確な数字を示すことができる」という。

「自分の地域で誰かが感染しているかどうか、これまでより少なくとも1週間早く伝えることができる」

精度などで問題も

研究者たちは、下水を使った新型ウイルス検査を、COVID-19警戒システムの一部として運用する前に、微調整をして実験結果を再現したい考えだ。

スペインを含む多くの国では下水の監視が始まっているが、初期の段階でいくつかの問題が発生した。スペイン・バルセロナで2019年3月に新型ウイルスが存在していたという検査結果は、実は研究所での汚染が原因だった可能性がある

下水ベースの監視システムの精度と有用性を最大化するためには、解決すべき問題が複数ある。水の中に入ったときに分解するウイルスの性質や、ほかの汚染物質の結果への影響、アウトブレクの実態を有用なかたちで示すにはイギリス全体のネットワークの中でサンプル採取場所はいくつ必要なのかなどだ。

「(下水調査は)明らかにやるべきだ。けれども、進行中のアウトブレイクについてやってみようと、検討されたことがない」のだと、シンガー博士は言う。

(英語記事 Coronavirus: Testing sewage an 'easy win'

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July 03, 2020 at 12:39PM
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