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国税庁 定期人事異動後のコロナ禍での税務調査はどうなる!? - KaikeiZine

国税庁は7月10日、定期人事異動を発令した。国税当局の事業年度は7月から翌年6月末まで。つまり、この人事異動を境に新事業年度がスタートする。通常なら税務調査が本格化するが、コロナ禍の影響を受ける今年の税務調査は一体どうなるのだろうか・・・。

国税庁の組織は、国税庁を頂点に全国12国税局(沖縄は税務所)、524税務署に約5万6千人が配置されている。定期人事異動では、約半数近くが動くことになるのだが、人事異動後、本格化するのが税務調査だ。

平成23年度税制改正により国税通則法が大きく見直され、税務調査の手続きなどが明確化されたことで、税務調査は開始から終了までに時間がかかるようになった。それまでは、人事異動後の挨拶回り、引継ぎが終わると8月のお盆休みとなり、お盆明けから調査が本格化するのが通例だった。そのため、“秋の税務調査シーズン”などとよく言われた。

それが最近では、人事異動前の6月から調査先の選定が始まり、調査担当者が決まる前に調査日を調整、人事異動後にはすぐに税務調査に取り掛からせるのが一般的となっていた。

従来と変わる調査先の選定

しかし、今年7月からの税務調査は、例年とは少し違うことが予想される。というのも、コロナ禍の影響により、従来通りの調査が難しいからだ。

税務調査は、「机上調査」と「実地調査」に分かれ、「机上調査」は調査選定法人の資料を分析、問題点などを洗い出す作業で、「実地調査」が調査先に臨場して行う作業。一般納税者としては、税務調査のイメージは「実地調査」が強いと思われるが、実は「机上調査」にも時間と労力がかかっている。

税務署が行うのは小規模事業者がほとんどで、実地調査は2~3日で終わる。調査先の選定は、各部門の責任者である統括官が、新たに提出された申告書をベースに選び、部下の調査官に振り分けていく。たとえば、3月決算法人なら5月が申告期限になるため、6月以降の調査先選定の材料になり、7月、8月に調査が行われる。

この調査選定作業が今年は、通常と違ってきている。個人の確定申告をはじめ、法人の決算申告もコロナ禍の影響を受けた場合は、税務署に申請することで申告期限が個別延長できるとされた。つまり、3月決算法人の申告が6月、7月でも認められるわけだ。すると、これまで3月決算法人の中から調査先を選定していたが、件数が足りなくなれば遡って、2月、1月まで申告法人を広げなければならないことになるのだ。調査選定作業が変わってくことで、目標とする年間調査件数に影響が出てくる可能性がある。

感染などのリスクを極力減らす

それだけではない。実地調査となれば、調査先に臨場するため、新型コロナウイルス感染拡大のリスクが伴う。そのため、職員から感染者を出さないために、納税者との接触を減らしているのが現状だ。国税OB税理士は、これまでの経験から「おそらく、通常より調査先を絞り込み、臨場する場合は、かなりの確率で申告漏れや非違を見つめられるケースに絞られる」と指摘する。

不正業種の常連が壊滅的経営状況

このほか、コロナ禍の税務調査においては、従来の不正発見割合の多い業種に調査を実施することがほぼないと考えられる。平成30事務年度の業種別「不正状況」を見てみると、1位は「バー・クラブ」70.3%、「外国料理」46.7%、「大衆酒場、小料理」46.3%、「その他の飲食」42.7%と、飲食店が上位を占める。しかし、今年は新型コロナウイルス感染拡大防止のため営業自粛となり、これらすべての業種が厳しい経営状況に追い込まれている。壊滅的な経営状況の中では、税務調査もできないのが正直なところだ。

国税OB税理士は、「東日本大震災などのときと同様に、平時のような税務調査は行わないだろう」と指摘する。過去最大の経済対策を行い、企業を救済していこうという状況下、積極的に税務調査をできるような社会状況ではない。一方で、国の重要な財源となる税収不足も何としても最小減に抑えたい。国民感情を考えつつ、効率的な税務調査を実施していくには、ここ最近の税務調査のキーワードである「富裕層」「国際」が、今年も調査に当たっての重点ポイントになってきそうだ。

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KaikeiZine編集長

税金の専門紙「納税通信」、税理士業界紙「税理士新聞」の元編集長。現在は一般社団法人租税調査研究会の事務局長であり、会計事務所ウオッチャー、TAXジャーナリストとして活動。㈱ZEIKENメディアプラス代表取締役社長。
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