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コロナ禍を経て、消費者の意識はどう変わり、どこに新たなビジネスの芽がありそうなのか?
米マッキンゼー・アンド・カンパニーが8月に発表した消費者動向の調査レポート「消費者の大きな変化:10のチャートが示す、米国のショッピング体験の変化」(The great consumer shift: Ten charts that show how US shopping behavior is changing)が興味深い。
同レポートは、新型コロナウイルスの危機が、人々の行動や重視するものをどう変えたかを調査・分析したものだ。
冒頭の前書きのなかで、以下5つの変化が起こっている、とマッキンゼーはまとめている。
・オンラインへのフライト
・忠誠心への衝撃
・衛生の透明性が必要
・ベーシックさ・価値の高さへの回帰
・「巣ごもり経済」の台頭
こうした変化は「ブランド選び」にも影響しており、世代による明確な差が確認できるケースもある。
何らかの消費者向けビジネスをしている人(社会人の多くがそうだろう)なら、一読しておく価値のある内容だ。
レポートから、一部グラフなどを抜粋して紹介する。
調査データの出典:マッキンゼーの「COVID-19 US Consumer Pulse Survey 6/15–6/21/2020」など直近の調査が元になっている。対象はアメリカの一般的な18歳以上の人口に合わせてサンプリングと重みつけをしたもの。調査人数はn=2006人。
1. ECへのシフトは今後も続く。しかし予想成長率は分野によってかなりの違いがある
出典:McKinsey & Company
予想成長率35%超の「高成長」分野は店頭販売医薬品、食料品、消費財などの必需品など。ただし、アパレルやジュエリーでさえECは15%以上伸びるとの予想。
2. ECへのシフトは、ミレニアル世代と高所得者が主導権を持っている
出典:McKinsey & Company
色が全般的に薄い箇所ほど、オンラインショッピング(EC)へのシフト意向が強いことを意味する。
ミレニアル世代と、高所得層はがとりわけ全般的に色が薄く、ECシフトへの意向が強いことがわかる。また、マッキンゼーの指摘によると、Z世代(1995年〜2010年生まれの世代)は、アパレル、シューズ、在宅エンタメなど特定カテゴリーでECシフトを集中する傾向がある。
3. ブランドの「ロイヤリティ」の崩壊の可視化
出典:McKinsey & Company
調査では実に、75%もの消費者が閉店や経済的圧力によって新しいショッピング行動を試している。
36%の人々が新しいブランドを試し、25%がPB(プライベートブランド=小売りや流通業者の自社ブランド)を取り入れている。ブランドを切り替える人々は「前例にない比率」だとマッキンゼー。
さらに驚くことにPB商品を体験した人の80%は、コロナ危機が落ち着いた後もPB商品を使い続ける意向がある。つまり、ブランドにとって一度PB商品に流れたユーザーは、今後しばらく取り戻せない可能性がある。
4. ブランドを乗り換えるきっかけは、非常に現実的な理由で起こる
出典:McKinsey & Company
ECが買い物の中心になると、入手性、利便性、費用対効果の高さがブランドを乗り換えさせるための最も強いドライバーになる。
48%の消費者が、ブランドを切り替える理由として「在庫があること」と回答。「利便性」(Convenience)の重要度も高い。そして「品質」や「オーガニック」であることよりも、費用対効果の高さ(Value)が響くという調査結果になっている。
5. ベーシックで、価値が高いものへの回帰
出典:McKinsey & Company
アメリカの消費者の40%は支出を削減していて、特に不要なものは削減し続けると予想。「必需品への支出意欲」の高まりは、高所得者であろうとも変わりがない。一方で非必需品(Non-essential)の購入意欲は依然として大幅に遅れている。
「危機」が収まるにつれ、アパレルや靴などのオンライン支出が回復している。この傾向は、高所得者、北東部の消費者、Z世代のなかで顕著。
6. 「巣ごもり経済」の勃興……家での過ごし方が変わった
出典:McKinsey & Company
アメリカ人は在宅時間の多くを家事・メディア視聴・ニュースに費やしている。コロナ禍を経て、家庭内で食事をするという意識は、過去3カ月で大幅に増加している。またオンラインエンタメ、機器の購入、在宅フィットネスへの投資も増加している。
これは制限の少ない地域でも同様で、消費者は在宅での活動により多くの時間を費やす意向がある。
7. 消費傾向の大きなシフトは、その人の社会的グループによって異なる
出典:McKinsey & Company
消費者の変化傾向がその人の属性ごとに違うことは想像はできるが、実際に5つの顧客グループに分けて、この記事の冒頭の「5つの変化」への影響の度合い分析しているところが、このレポートの見所の1つだ。
経済的・社会的・心理的状況の差異が、ショッピングなど消費傾向の違いに影響していることがわかる。
1)「裕福でコロナの影響がない」グループ:
将来について全般的に楽観的で、男性60%の偏りがあり、年間10万ドル以上の収入があるグループ。パンデミック期間に(財政的な余裕があるため)在宅を続けられ、より多くオンラインショッピングを利用できる。このグループの人たちは仕事が安定しているため、ほかのグループに比べて価格に敏感ではない。
2)「根無草で不完全就労」グループ:
不安定な仕事のため、自身の財政と健康に大きな影響を感じている。将来の経済状況に対して楽観性が低く、出費に慎重。生活水準を下げ、選ぶブランドを変更し、買い物はできるだけオンラインに切り替えている。
3)「経済的に安全だが、不安を感じている」グループ:
主に65歳以上で、一般的にアフターコロナに悲観的。衛生の透明性についての必要性を最も求めていて、安全性と幸福、必需品の入手性に平均以上の懸念を持っている。
4)「家計のやりくりのために外出する」グループ:
お金の使い方に注意深く、自身の仕事と、職の安定性が新型コロナウイルスから大きな影響を受けていると感じている。在宅を続けられない一方で、必需品や価値の高い(value)ものの買い物への指向性は強い。
5)「社会と距離があり、退職している」グループ:
65歳を超えて退職し、「経済的には安全だが、不安を感じている」グループより所得レベルが低い人たち。彼らはアフターコロナの経済状況について広く楽観的で、「ネクストノーマル」の特性に変化する可能性が低い。このグループは主に米国の南部と郊外から来ているが、買い物行動には大きな変化はない。
まとめ:あなたのビジネスを「買ってくれる」のは誰なのか?
この調査は全般的に示唆に富んでいる。
特に、世代や、社会的状況や収入によって、アフターコロナの「態度変容」に大きな差があることを調査から示し、言語化した価値は大きい。
気になる人は、ぜひ大元のマッキンゼーの調査レポートの公開データも見てもらいたい。
とりわけ興味深いのは、この記事でとりあげた「2. ECへのシフトは、ミレニアル世代と高所得者が主導権を持っている」の図表だ。
ミレニアル世代と高所得層が特にECへのシフトを主導するという構図は、日本でも同様の傾向が表れる可能性を念頭に、今後の動きを見ていく必要があると思う。
いずれにしても、消費者向けのB2Cビジネスをしている人にとって、今後を見通す「問い」を立てるための重要な材料になりそうだ。
(文・伊藤有)
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August 17, 2020 at 09:00AM
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